原木のクロモジは11月〜2月に切り出されて半月乾燥させ、新聞紙を巻いてビニールで包んで冷蔵保存する。上角楊枝には黒い樹皮の方がいいので1本1本確認しながら原木を選ぶ。
クロモジの原木を上角楊枝の寸法6センチに鋸で切る。これをコロという。作業場はクロモジのいい香り漂う。
小割りナタでコロを縦に二つ割りし、さらにそれをまた二つ割りする。これを何度か繰り返し、細くする。
クロモジの黒い皮側から2〜2.5ミリくらいを使用し、芯に近い白い部分は切り落とす。
楊枝の頭とは逆側を尖らせるように小刀で削る。武士の内職のなごりか、「最後の一刀で仕上げなさい」という教えがあるそうだ。
樹皮の状態から楊枝の頭を見極め、小刀で樹皮側を1ミリほど斜めに切り落とす。
裏返して樹皮側も、そして側面も同様に均等に削って尖らせる。細さ1.5ミリなので削り過ぎないよう慎重さが要求される。
1.5ミリ角になっているか、ノギスで太さを測って確認する。
ほんの数分で上角楊枝14本が削り上がり、すぐに扇風機で乾燥させて出来上がり。師匠から「削りは12手で仕上げる」ようにと習った。江戸時代の名人は1日2000本もの楊枝を作ったそうだが、まだそこまでは達していないと中山さん。
削っていると、クロモジの灰汁で小刀の切れが悪くなる。次の削りに備えて、すぐに小刀を研いで繊細な削り具合を維持する。
欅の切り株の作業台に並べられた道具。右手前からナタ、小割りナタ、押し切り(上)、削り台の上に手作りの小刀(下、切り出しナイフ)2本、寸法の目安にする手作りの型、ノギス。
左から右へ、クロモジの原木から上角楊枝が削り出される。